あの日幕張で、確かに鬨の声を聴いた。

まひろです。

 

9年前、彼らが産声を上げたとき。

私はその存在を知りませんでした。

彼らどころか、踊り手という存在も、踊ってみたというカテゴリも。

 

8年前、彼らが鬨の声を上げたとき。

私は彼らとまだ巡りあっていませんでした。

 

 

 

 

 

 

遡ること2019年の夏。

MeseMoa.全国ツアー「Ch.8」ファイナル パシフィコ横浜公演が開催されるその日。

日付が変わると同時につぶやいたのが、この散文です。

一足飛びに状況が変わることはなくても、必ずそうなっていくのだろうと。

このままファンが増えれば近い将来、ライブのチケットを手に入れることも特典会への参加もおいそれとはできなくなる。

 

「画面の向こうじゃない 君の目の前で 僕らは生きてる」

 

そう歌ってインターネットという電子空間から飛び出してきた彼らとて、いずれまた画面の向こうへ帰っていく。帰る先がインターネットなのかテレビなのか別の場所かはわからないけれど。

それはとても喜ばしいことで、でもどうしたって寂しさを感じることは否めない。いくら至極当然のことだとしても。

そう思いながら文章を組み立てたことを覚えています。

 

それから少しの時間が流れました。

世界は、次元は、距離の単位は、概念は。

2019年8月に想像していたのとはまったく違う形に変貌を遂げました。

というより、だれがこれを想像できたというのか。

ハリウッド映画のようなシチュエーションが現実のものとなって、オタクもアイドルも中の人も、おそらく誰もがいままで経験したことがないそれぞれの目の前のことをひとつずつやり過ごして。

戦うための要塞、母艦としてはもちろん、主戦場として改めて「画面の向こう」を選び、文字通りの籠城戦をしのぎ、再び次元を跨ぐ機を謀っている彼らを見ながら、一介のオタクの自分はどうしていたかと言えば。

 

 時勢も相まって、有観客ライブやイベントのお知らせがあるたびに、申し込みや支払いの期限が来るたびに、イベント当日の朝を迎えるたびに、果たして申し込むべきなのか、参加するべきなのか、会場へ向けて家を出るべきなのか。

毎回「どうするべきなのか」を悩むくらいなら、いっそすべて目に入れなければいいじゃないと意識的にTwitterとの距離を広げてみたり。

2020年秋に上演されたミュージカルを観たことを一つの転機として自分の中の推しさんへの感情に大きな変化が起きてからは、今までのオタクをする上でのスタンスを根元から見直したり。

その挙句、推しさんへのリプやお手紙を書こうとしてはその都度「違うこれじゃない今じゃない」と筆と指は止まり言葉は見つからず、巡り巡って「オタクの自分がこんなすごい人たちに何かを伝えようなんておこがましさの極みじゃない???」というところにはまって考えることを放棄したり、していました。

 

 (某LINE窓の面々にその節は盛大にご迷惑をお掛けしました見捨てないでくれて本当にありがとうこれからも何卒よしなに。)

 

 

端的に言って拗らせに拗らせたオタクとして迎えたあの日。

2階席Aブロックというメインステージの真正面、元々全景好きである自分には願ったりかなったりの場所に腰を落ち着け、広いと知識で知ってはいても体感的に理解はしていなかった幕張メッセの、某老舗音楽番組の特番かのようなセットを眺めながら「これは知らない景色だなぁ」とぼんやり思いながら開演を待って。

最初の一曲目のイントロが流れて耳に入った時、声の出せない身体から溢れたのは「生きてた!!生きてる!!」という双方にたいしての自分の意思に反した大量の涙でした。

 

そこまで生のパフォーマンスに飢えているとは思っていなかった。

コロナ禍だとは言え、配信などで有り難くそれなり楽しくオタクをしていると思っていた。

それなのにレーザーが飛び交う中照明に照らされた姿が目に入った瞬間、自分が本当に欲しいと思っていた観たいと思っていたものがなにか骨身に染みてわかってしまった。

 

そんな気がしました。

 

RPGという事前に明かされていたコンセプトに沿ってどんどん進んでいくライブ。

新曲なのにも関わらず何となく手振りを追いかけてしまう「レアモンスター」。

まさか生で聞ける日が来るとは思っていなかった推しのソロ。

まるでミュージカルのような「イッツ・ア・ワンダーランド」。

この子達が喋らないわけないよね???といぶかしく思い始めた頃に挟まれたMC。

コンサートという言葉から思い浮かべられるあらゆる演出が総動員された「烏合之衆」。

開演前に慌てて読んだ歌詞から想像した以上の豊かな情感にタコ殴りされた「Polaris」。

あの日観たすべてが、それまで観たことがないもので。

あれだけ広い会場で、あれだけ離れていてさえ、置いてきぼりには全然されなかった。

 

さらに3着目の衣装を着た彼らが乗り込んだもの。

 

テレビでなら何度も見ました。人力で動くということも、知識としては知っていました。

まさかそんなことがあるとは欠片も想像していなかったけれど、物理で距離を詰めてくる(色々語弊がありすぎる)彼らの「画面の向こう」から次元を越える様をそこに見ました。

 

 

 

幕張メッセ公演、最後の挨拶で、リーダーの白服さんが口にされた言葉。

 

「今日という日の為の、そして未来の為の、みなさんそれぞれのすべての決断に感謝申し上げます。」

 

 

その言葉を、そっくりそのまま、お返ししてもいいでしょうか。

 

幕張公演の幕を上げる選択をしてくださって、ありがとうございました。

今までの、ありとあらゆる選択が迫られたその時に、今に繋がる方を選んでくださって、ありがとうございます。

 

あの日、幕張メッセで、私はMeseMoa.が再び上げた鬨の声を確かに聴きました。

その声が「勝ち鬨」に変わることを信じています。

それまで応援させてください。

 

2021年4月29日

Continue~強くてニューゲーム~幕張メッセ公演成功。

そして5月10日

むすめん。9周年。

本当におめでとうございます。