勿忘草

まひろです。

 

忘れないで(forget me not)と、口に出すつもりはなかった。

沼にはまった一番初めから、「覚えてなくていいよ」「忘れていいよ」と思っていた。

忘れられることが怖かったからなのだと、やっとわかり始めている。

 

言祝ぐ人でありたいというのは「外野でいたい」と同義だ。

当事者にならないというか、なろうとしないというか。

求めない。欲しがらない。期待しない。

言葉は綺麗だけど、結局のところそれは自分が傷つきたくないから張る予防線でしかなくて。

誰を推しているのか、明言を躊躇っていた原因はここにあった。

こんなにタチの悪いファンもないものだと、もう少し早く自覚するべきだったと、今更ながらに思う。

 

初めて聞いた時は「その時が来てしまう」と思った。

心底楽しそうな表情で映ってるのを見て、やっと自分の気持ちの置き所が見つかったと思った。

ステージで歌う推しに向かって「忘れないで」と声にした時、本当はずっとそう言いたかったんだと気づいた。

覚えてなくていいよって思ってきたことは、どうしたって覆せない。

だけどもし。万が一。

推しの中に、私というファンのことが砂粒ほどでも残るなら。

「忘れてやるもんか」と言ってくれるあなたの言葉に、甘えてもいいですか。